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もみまきの前の大切な作業「種子消毒」 山田錦を栽培するには種もみが必要です。研究会では毎年種を購入し、鈴木会長の圃場(田んぼ)で栽培し、刈り取った籾(もみ)を乾燥させ、それを会員に配布しています。 つまり全員同じ種もみを使っていることになります。「他の品種と混ざらないように、乾燥機、もみすり機、コンバイン、みんなきれいに掃除してから作業をしています。かなり神経を使いますよ」と鈴木会長は言います。
さて、最初の作業は種もみを「塩水選」で選別します。比重の大きい塩水に種もみを入れ、浮かんでくるものは避け、沈んだものだけを選びます。浮かぶものは空気が入っている。沈むものは充実している証拠となります。 それから、もみまきの3〜5日前に種もみの消毒をします。鈴木会長は5月16日、さわやかに晴れ上がった日に行いました。 まず温湯消毒。温湯殺菌機という器具を使い、種もみを60度Cのお湯の中に10分間入れ殺菌します。その後取り出して5分ほど水で冷やし、次ぎに、微生物が菌を殺してくれる微生物農薬を入れたポリタンクの中に丸1日浸けて消毒します。 このように「温湯」と「微生物農薬」それぞれの効能を補う形で2回行って種子消毒は完了です。
状態を観察してもみまきの日を決める
このように、鈴木会長は化学農薬を使わずに種もみの消毒をしているのです。「私は4年前からエコファーマーとして静岡県で認定されていますので、なるべく化学農薬、化学肥料を使わないという方針で農業をやっています」。その一例として、鈴木会長は去年、こしひかりを化学肥料を慣行の半分以下、化学農薬も半分以下の量にし、成分として7成分減らし、特別栽培米として栽培、出荷しています。「他の会員もみんなエコファーマーの認定を取って、特別栽培米として山田錦をつくってくれれば、また、一段とイメージが良くなると思います」と鈴木会長は希望を語ります。
種子消毒が終わったら、温湯殺菌機を使い、3日から5日ほど種もみを水に浸し、上からシャワーで水を入れておきます。その間に種もみの様子を観察します。芽と根が出る胚芽がふくらんだ状態のときにもみをまくのです。
実はこの状況を見極めるのが難しい。水温(気温)が高ければ早く芽が出るからです。もみまきは機械を使って行うのですが、種もみの芽が大きくなってしまうと機械にかけたときにその芽が取れてしまう恐れがあります。だから、タイミングを見計らってもみまきをしなくてはなりません。鈴木会長は「20日頃。気温が高ければ19日」と予定を立てました。
もみをまく[播種(はしゅ)]
通常は5月20日前後にもみまきをします。もみまきはベルトコンベアによる流れ作業で行われます。まず、土が盛られた苗箱をベルト上に乗せて送る。その上に水をまく。そして、その上にたねもみをまきます。山田錦の場合は他の品種に比べ薄くまきます。他の品種は1つの苗箱に130〜150グラムですが、山田錦は100〜110グラム。丈夫な苗をつくるためです。そして、最後にその上に土をまく。これは最初の土と同じ窒素の少ない土で、田植え前に伸びすぎないように配慮してのことです。 もみまきが完了したら、苗箱を育苗機に入れます。温度を23度くらいに保ち、「芽出し」をさせます。他の品種は25度くらいに保ちますが、山田錦は温度を上げると伸び過ぎてしまい、たんぼに出すとすぐ伸びてしまうため、低い温度で芽を出させるのです。芽が1cmくらい出たら外へ出します。
苗を育てる
芽が1cmくらい出たら苗箱を育苗機から外に出します。通常は気温の低い日を考慮してビニールハウスに入れます。もみまきをしてから6日目くらい。他の品種よりも1日早いです。早めに外に出してやり、環境に対応させ、丈夫に育てるためです。最初の2日間は芽がやけてしまわないよう、黒い遮光ネットを屋根にかぶせておき、その後、ネットをはがし、光を直接当てます。水は極力やらないようにします。根が水を求めて伸びてくれるように、水を少ない状態にしておくのです。4葉目(4枚目の芽)が出始める頃までここで育て、その後、田んぼに持っていき、田植えということになります。
研究会では毎年5月末に全員の苗をチェックし、田植え日を決めるために「苗持ち寄り研修会」を行っています。
次回はそのレポートをお届けする予定です。
どうぞ次回もご覧ください。 |