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稲をよく観察してタイミングよく刈り取ることが重要 刈り取りが行われたのは10月6日。くもり時々晴れのまずまずの天気でした。圃場評価が行われた9月27日から9日経った鈴木会長の山田錦の田んぼは緑色が抜け、黄色に近い色合いになっていました。 まず、刈り取りに際して重要なことを聞くと、「大切なのは、胴割れ(米が割れる)が起きないように枝梗(しこう・茎から出ている何本かの細い枝。この先にもみを付けている)の枯れ具合を見極めて刈るということでしょう」と言います。
筆者もこのタイミングの図り方については以前研究会の勉強会で学んだことがあります。 それによると、枝梗は何本かありますが、一番先の枝がだんだん枯れて(黄色になる)、全体が黄色になったら刈り入れ適期。先から二番目の枝が黄色になったら要注意で、すぐに刈り取りをしなくてはならないということです。 鈴木会長は、「枝梗が枯れていると、もみと稲との行き来ができなくなってしまい、雨が続いた後、風が吹くと、枝梗が枯れているところは、そこでしか水分の移行がないため、胴割れしやすいのです。だから、雨が続くという天気予報が出ていたら、その前に刈っておきたいのです」と、枝梗をよく観察することの重要性を説きます。 そして、刈り取りの際にも注意が必要だと言います。「急いで刈ると脱粒しやすい(もみが取れやすい)。だから、ゆっくり、そっと、あげてやらなくてはなりません」。やはり、手間がかかるものなのです。
収量アップのための方法とその影響
研究会では今年の目標の一つとして、収量の増大を掲げ、具体的には「反収7俵」をめざしています。収穫量はまだ今の段階では分かりませんが、栽培方法や稲の発育状況に関して今年の特徴を聞くと、「収量アップのために今年は肥料を従来より少し多めに入れているので、田んぼの色は緑色が少し残っています。刈る前にうまくタンパクが下がってくれればいいのですが」と鈴木会長は不安を隠しません。 研究会では今年は止葉(とめは・一番先端にある葉)の長さの目標を26cmに設定しています。去年の会員全員の平均値よりも3cm長い数値です。 「止葉によって最終的な栄養の行き来ができます。止葉が大きいとチッ素成分がもみにあってもタンパクがどんどん消費されて減っていくのです」。今年、止葉を大きく設定した意味を鈴木会長はこう語ります。 さらに、続けて、「下の方に葉が残っていても陽があたらない可能性があるため、どこで、栄養の行き来をさせるかというと、上の葉ということになります。だから、最低でも一葉目と二葉目は残しておきたいところです。そのためには生き生きとした根をつくっておかなくてはなりません。最後の最後まで根は大事なのです」。話を聞くと、どうやら、最初のもみまきから、刈り取り、乾燥、もみすりまで、どの工程も手が抜けないということが分かります。「適当にやって、稲が大きくなったら刈り取る。そんなやり方ではとうていダメ。山田錦づくりには努力が必要です」。 さらに、今年の稲の特徴を聞くと、「去年までの稲は立っていましたが、今年は少し弓なりになっているものもあります。台風のときにはかなり頭が下がりましたが、その後、グッと上がった。山田錦は力があるんです。普通の稲だったらいったん下がったらそのままです。だが、山田錦はまた立ってくる。ぼくはこれがすきなんです。いいですね」。刈り取り直前の山田錦を指さしながら、笑顔で鈴木会長は語ります。
今年の土田製造部長による圃場評価における総評では、「近年になくいい出来」という評価でしたが、それについて鈴木会長は「特別に悪いものがなく、みんな同じような稲に揃ってきています。土田部長にも楽しみにしてもらえると思います」と自信をのぞかせています。
静岡山田錦研究会では毎年11月下旬に会員全員の収穫した米の成分分析会を行います。そこで今年の山田錦の出来の一端が明らかになります。 その様子は次回のレポートで報告する予定です。 どうぞ、次回もお読みください。
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