ホーム > 山田錦研究会 > 初夏到来、会員による山田錦づくり始まる。もみをまいて、苗を育てる。


温湯消毒をする鈴木会長
化学農薬を使わず微生物農薬で消毒する
苗箱をベルトコンベアに乗せ土を盛る
水をまく
種もみを薄く(数少なく)まく
種もみの上に土をまく
これでもみまきの作業は終了
苗の成長を確認する太田さん
磐田市にある太田さんの農場の建物
太田副会長
さわやかな新緑の季節を迎えると、遠州地方(静岡県西部地区)で山田錦を栽培する花の舞の契約農家「静岡山田錦研究会」のメンバーはいよいよ本格的に作業に取り掛かります。
まず行うのが「もみまき」。もみをまいて、苗を育て、そして、田植え、ということになります。そこで、今回はもみまきを中心にレポートします。
山田錦を栽培するには種もみが必要です。研究会では毎年種を購入し、鈴木会長の圃場(田んぼ)で栽培し、刈り取った籾(もみ)を乾燥させ、それを会員に配布しています。
つまり全員同じ種もみを使っていることになります。鈴木会長は「他の品種と混ざらないように、乾燥機、もみすり機、コンバイン、すべてきれいに掃除しないといけないので、神経を使います」と言います。
さて、最初の作業は種もみを「塩水選」で選別します。比重の大きい塩水に種もみを入れ、浮かんでくるものは避け、沈んだものだけを選びます。浮かぶものは空気が入っている。沈むものは充実している証拠となります。
それから、もみまきの3〜5日前に種もみの消毒をします。まず「温湯消毒」。温湯殺菌機という器具を使い、種もみを60度Cのお湯の中に10分間入れ殺菌するものです。
その後取り出して5分間ほど冷やし、つぎに、微生物が菌を殺してくれる微生物農薬を入れたポリタンクの中に丸1日浸けて消毒します。
1回で済めばいいのですが鈴木会長は化学農薬を使わないで消毒するために、この「温湯消毒」「微生物農薬」というそれぞれの効能をおぎなう方法を用いているのです。
鈴木会長は5年前からエコファーマーとして静岡県で認定されており、なるべく化学農薬、化学肥料を使わないという方針で農業をやっています。その一例として、鈴木会長は一昨年からコシヒカリを、化学肥料を慣行の半分以下、化学農薬も半分以下の量にし、成分として7成分減らし、特別栽培米として栽培、出荷しています。「他の会員もみんなエコファーマーの認定を取って、特別栽培米として山田錦をつくってくれれば、また、一段とイメージが良くなると思います」と鈴木会長は希望を語ります。
種子消毒が終わったら温湯殺菌機を使い、3日間から5日間ほど種もみを水に浸し、上からシャワーで水を入れておきます。その間に種もみの様子を観察し、芽と根が出る胚芽がふくらんだ時にもみをまくのです。
実はこの状況を見極めるのが難しい。水温(気温)が高ければ早く芽が出るからです。もみまきは機械を使って行うのですが、種もみの芽が大きくなってしまうと、機械にかけたときにその芽が取れてしまう恐れがあります。だから、タイミングを見計らってもみまきをしなくてはならないのです。
静岡山田錦研究会の会員は例年5月20日前後にもみまき、[播種(はしゅ)とも言います]をします。研究会副会長の太田重一さんの作業を取材させてもらいました。
もみまきはベルトコンベアによる流れ作業で行われます。まず、苗箱をベルト上に乗せて送り、土を盛る。その上に水をまく。そして、その上に種もみをまきます。
山田錦の場合は他の品種に比べ薄くまきます。他の品種は1つの苗箱に130?150グラムですが、山田錦は100〜110グラム。丈夫な苗をつくるためです。そして、最後にその上に土をまく。これは最初の土と同じ窒素の少ない土で、田植え前に伸びすぎないように配慮してのことです。
もみまきが完了したら、苗箱を育苗機に入れます。温度を23度くらいに保ち、「芽出し」をさせます。他の品種は25度くらいに保ちますが、山田錦は温度を上げると伸び過ぎてしまい、田んぼに出すとすぐ伸びてしまうため、低い温度で芽を出させるのです。芽が1cmくらい出たら外へ出します。
芽が1cmくらい出たら苗箱を育苗機から外に出します。通常は気温の低い日を考慮してビニールハウスに入れます。もみまきをしてから6日目くらい。他の品種よりも1日早いです。早めに外に出してやり、環境に対応させ、丈夫に育てるためです。最初の2日間は芽がやけてしまわないよう、黒い遮光ネットを屋根にかぶせておき、その後、ネットをはがし、光を直接当てます。水は極力やらないようにします。根が水を求めて伸びてくれるように、水を少ない状態にしておくのです。4葉目(4枚目の芽)が出始める頃までここで育て、その後、田んぼに持っていき、いよいよ田植えということになります。
太田さんは研究会結成当時からの会員。磐田市で大規模に米づくりを行っています。山田錦以外にはコシヒカリ、あいちのかおり、はつしもなど数種類の食用の米をつくっています。
その特徴はすべて特別栽培米であること。除草剤を1回使うだけで、それ以外に化学農薬は一切使わず、肥料も100%有機肥料を使っています。平成元年頃からやり始め、静岡県では2番目に早かったとか。太田農場のオリジナルブランド米「元気くん」は安心・安全にこだわる消費者の支持を集めています。
太田さんは現在研究会の副会長を務めていますが、研究会については「全員のデータをとり、それをすべてオープンにするので、結果が悪いと恥をかく。だから、みんなまじめに取り組むので進歩が速い。私も入会して大変勉強になりました」。研究会のデータの蓄積は有名だが、太田さんは「会員がそのデータを使いこなすのがすばらしい。それに、だれが、どのような作り方をしたか、克明に記録が残っているので、どこに出しても説得力があります」と研究会の活動の意義を語ります。