ホーム > 山田錦研究会 > 刈り取りを前に蔵人が圃場を評価。猛暑の影響は避けられず。


刈り取り前の山田錦(都田)
研究会の鈴木会長
巡回する会員
色を測定する蔵人鈴木
稲を一株ずつ提供してもらう
最後の猛暑に見舞われた巡回
トラクターでかけつけた会員(森町)
稲を観察する鈴木会長
圃場を評価した斎藤副杜氏
静岡山田錦研究会の今年最後の巡回活動である圃場評価が9月21日、22日の2日間にわたり行われました。これは、会員の刈り取り前のすべての圃場(田んぼ)を花の舞が視察し、A・B・Cの3ランクで評価をするものです。研究会が評価をするのではなく、花の舞の酒づくりの責任者が圃場を評価することについては、「生産者として杜氏がほんとうに酒をつくりたいと思うような山田錦をつくらなくてはいけない」との研究会の考えから、平成13年より毎年この時期に実施されており、今年で10回目となります。
圃場評価は花の舞の酒づくりの総責任者土田一仁製造部長が当初より務めてきました。しかし、今年は製造部長として会社の仕事があったために圃場評価を断念せざるを得なくなりました。そこで、土田製造部長が蔵の青木製造部長補佐、事務局を担当する斎藤副杜氏の2人に評価を行わせることを研究会の鈴木良紀会長、乗松精二相談役に要請しました。研究会は酒づくりを行っている若手に機会を与えるのも今後のために必要であろうと判断、初めて2人が圃場を評価することになったのです。2人は以前より圃場巡回や圃場評価に参加していますが、乗松相談役、鈴木会長、土田部長から圃場評価のポイントのレクチャーを受け、評価本番に備えました。
今年は例年と異なり、1日目に浜松・浜北地区、2日目に湖西地区、湖北(都田)地区、磐田・袋井地区を巡回しました。天気は快晴、しかも猛暑。天気予報では翌日からは雨も降り、ぐっと秋らしく涼しくなるでしょうとのことで、なんと、猛暑続きの今年の夏の最後の猛暑日に行われたのでした。
巡回には評価を行う花の舞の青木製造部長補佐と斎藤副杜氏の他、研究会の鈴木会長、会員、JA職員、花の舞の蔵人鈴木、そして営業の望月ら10数名が参加、猛暑の中、次々と圃場を巡回しました。
研究会では以前から19箇所の代表圃場を決め、毎年7月、8月の巡回、そして、この9月の圃場評価の際にも稲の成長を調査しています。今回もその代表圃場でタンパク質含有量の目安となり、刈り取りのタイミングをはかるために必要な止葉(とめは)と呼ばれる茎の一番上の葉の色の測定、そして、活葉枚数(緑の生きている葉の数)の確認が行われました。
また、例年この巡回では会員すべてから稲を一株ずつ提供してもらっています。これはその後、一株ずつ、稈長(茎の長さ)、穂長、全長、枝梗数(米を付けた細い枝)、一穂粒数、止葉長、千粒重などなど、稲のすべてを計測、計量、分析し、会員全員分の「稲体の形態調査表」をつくるためのものです。
巡回後、鈴木会長に稲の様子を聞くと、「葉が枯れたり、もみが白くなっている稲が一部見受けられました。恐らく高温が長く続いた影響ではないかと思います」と言います。
葉が枯れてしまった原因は何なのでしょう。「稲の葉の葉緑素を食べてしまうコブノメイガという害虫の被害にあっています。会員は例年通り防除をしているのですが、猛暑のために害虫の発生時期が例年より早くなり、タイミングがずれてしまい、薬がうまく効いていなかったのだと思います。止葉まで被害にあうとまずいですね。稲は下から葉が枯れていきます。最後は茎の一番上に残った止葉によってもみへ栄養分を送るのですが、この止葉が被害にあうと米がふっくら大きくならない恐れがあります」と鈴木会長はやや心配顔で語りました。
今年の夏の猛暑は大きな話題となり、さまざまな分野に影響を及ぼしましたが、残念ながら山田錦づくりにおいても例外ではなかったようです。鈴木会長は「たとえ高温であっても、田んぼの水の出し入れなどをきちんとやって、人間がなんとか救ってやることができるのですが、今年の夏の天候は人の技術ではもはやどうにもできないレベルでした」と語ります。どうやら今年は米づくりにおいて高い技術を持つ静岡山田錦研究会のメンバーでも、天候に影響され、管理のしにくい年であったようです。
さて最後に、今回初めて圃場を評価した花の舞の蔵の青木製造部長補佐と斎藤副杜氏に感想を聞いてみました。青木製造部長補佐は「農家さんやJAに納得してもらい評価をやらせてもらえたのはありがたいことです。評価は最初、A、B、Cそれぞれの基準を見つけるまでがたいへんで、それがつかめると後はスムーズにいきました。分かりにくいときだけ鈴木会長に助言をいただきましたが、できるだけ自分で判断するようにしました」と言います。
そして、斎藤副杜氏は「私は2日目に評価をしましたが、前の日に巡回してだいたい基準が分かっていたので比較的やりやすかったです。判断に迷った時は鈴木会長と相談してやりました。微妙な時は稲の生命力があるかないかで判断しました」と語っています。
2人は責任ある評価する立場になるのは初めてでプレッシャーも疲労もあったようですが、「いい経験をさせていただきました」と表情は満足げでした。
その後、会員の山田錦の圃場では例年並みの10月上旬にいっせいに刈り取りが行われました。